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【マンガ組織論】あおざくら防衛大学校物語とZ世代・令和時代の組織について

トレンド・プロ

マンガには様々なジャンルがあるが、そのほとんどが主人公と仲間たちの物語と言っても過言ではない。その中でも特に、学園・スポーツ・冒険・職業系などのジャンルはチームや組織を描いたものが多い。そして名作と呼ばれるマンガは面白いだけでなく、人生の学びになる教訓を数多く含んでいる。

この記事は「マンガ組織論」という題名の通り、個人的に面白いと感じたマンガを紹介しながら、そこから学べる組織論について考えるという企画である。第一弾は二階堂ヒカル先生の「あおざくら防衛大学校物語」。防衛大学校という非常に特殊な環境を描いたマンガだが、前時代的に見える慣習の中に、組織の関係性を深めるための大切な教訓が隠されているかもしれない。

 ■防衛大学校という特殊すぎる環境

本作品はタイトルにある通り、防衛大学校が舞台である。実家が定食屋のガリ勉の主人公が家計を助けるために、給料をもらいながら大卒資格が取れる防衛大学校に入学する所から物語が始まる。

「学びながら給料がもらえる」と聞くと素晴らしい環境に思えるが、その実態は壮絶である。入学してから数日間はお客様期間と呼ばれ、先輩たちはとても優しいが、入校式が終わった瞬間に彼らは鬼の形相となり、新入生は天国から地獄へ突き落される。

「あおざくら防衛大学校物語」ⓒ二階堂ヒカル/小学館

このマンガと実際の防衛大学校の実情がどれほど合致しているかはわからないが、自衛隊のリーダーとなる幹部自衛官を養成する学校なだけあり、すべてが厳しい。

何が厳しいかというと、まず規律。通常では考えられないほど細かいルールが決まっており、少しでも守れていないと自分のベッドを部屋から投げ捨てられたりする。また、誰かが重大な規律違反を犯すと「ヘルウィーク」と呼ばれる懲罰期間がスタートし、場合によっては学年全体が連帯責任として過酷なペナルティを受ける。

「あおざくら防衛大学校物語」ⓒ二階堂ヒカル/小学館

2つ目はカリキュラム。作中で描かれる歩行訓練やカッター競技会と呼ばれるボートレースは、主人公たちを心身ともに限界まで追い込む。主人公は体力派ではないのでかなりつらい目に合うが、持ち前の精神力と実直さでなんとか試練を乗り越えていく。

最初はあまりにつらい描写が続くため読み進めるのを断念しかけたが、1年生の前期が終わる頃から徐々に変化が訪れる。

4~6人が一部屋で共同生活を行うのだが、各部屋には4年生の部屋長がいて、主人公の部屋長は鬼と呼ばれる特別厳しい先輩だった。しかし決して理不尽な人間ではなく、彼の真意を理解し始めた主人公は徐々に絆を深めていく。
そしていつしか二人で酒を飲みかわす仲になり、卒業式で主人公は胸を張って部屋長の門出を見送るのである。

■自由と規律、合理的な精神論

この作品で描かれる組織は一見時代に逆行しているように見える。

異常に厳しい規律や腕立て伏せ1000回などのペナルティは、今の時代だと一歩間違えれば炎上するレベルだし、見ているだけでしんどい気分になる。

「あおざくら防衛大学校物語」ⓒ二階堂ヒカル/小学館

だがそれでもこの作品を読み進めてしまうのは、非常にわかりやすく「努力・友情・勝利」を描いているからかもしれない。最近はこの3要素に縛られないマンガも増えてきているが、やはり普遍的なテーマとしての魅力はある。

しかし今の20代以下の世代がこの作品を読むとどう感じるだろうか。

最近は90年代中盤以降に生まれた若年層を「Z世代」としてメディアがよく取り上げており、努力が報われると思っていない、昇給・昇進よりもワークライフバランスが優先、人との距離を取りがち、結婚願望が薄くソロ活を好むなどと言われている。もちろんこれらすべてが事実ではないが、よく言えば個々の価値観を大切にする多様性、悪く言えば人間関係の希薄化という特徴があるらしい。

そんなZ世代の潮流に逆行するかのような規律と集団生活を描いているのが本作である。

作中の防衛大学校は一見すると非合理的な精神論に満ち溢れた閉鎖環境だが、テロや災害時などの強いストレスがかかる状況でも、常に冷静でいられるメンタルを培うという意味では、合理的な訓練場として描かれている。

「あおざくら防衛大学校物語」ⓒ二階堂ヒカル/小学館

今の普通の学校や会社では絶対に体験できない集団生活を描いており、バブル崩壊前の社会や、ゆとり教育以前の学校生活を知らないZ世代には、逆に新鮮に映るかもしれない。

また、会社などの組織を運営する上で永遠に語られるテーマの一つに「自由と規律」がある。 ルールで縛りすぎると主体性や独創性は生まれないし、ルールが無さすぎると個々の向く方向がバラバラになり大きな成果を上げられず、モラルハザードも生まれる。

この2つのバランスに多くの組織が苦労しているわけだが、この作品は今の社会に1つのアンチテーゼを提示しているかもしれない。

昭和のモーレツサラリーマン的ワークスタイルなどはもはや受け入れられない現代だが、コロナ化をきっかけとしたリモート化が進む中、すれ違いや孤独感など、新しいタイプのコミュニケーション問題も生まれてきている。

もちろん防衛大学校のような特殊な目的を持つ組織と、普通の会社や学校を単純比較することはできない。しかし、個々の主体性や独創性を尊重しながら大きな成果を出すためには、自由と責任の範囲を明確にしたルール作りも不可欠である。

また、仕事や人間関係において、理不尽なトラブルや厳しい局面は必ず訪れる。そんな状況でも常に冷静さを失わず、迅速に適切な選択をするための判断力を養っておくことが、持続的な組織の成長を実現する上で大切なのではないだろうか。


創業34年目を迎えたトレンド・プロは、DXや働き方改革のニーズの高まりに伴い、組織活性化のためのマンガ活用に力を入れている。人事制度や1on1ミーティング、中期経営計画など、様々なテーマ・課題においてマンガが導入され始めているので、組織課題を感じる方は、是非マンガ活用という選択肢に興味を持っていただきたい。

文:中嶋駿

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